東京地方裁判所 昭和30年(ワ)2493号 判決
被告は第一裏書は権限のない者により為されたものでその効はなく、従つて爾後の裏書には連続に欠ける結果を生じ、原告を以て正当所持人と為すに足りないと主張するけども、裏書連続は形式上の整備を以て足るものと解するのを妥当とするから、仮に第一裏書が実質上には無効であつたところで、本訴請求は三信商事株式会社に対し為されているものではなく、振出人の被告に対し為されているものである関係上、第一裏書の真否を究明するまでもなく、被告は振出人として所持人原告に対し手形上の義務を負わねばならぬ筋合である。又被告は拒絶証書作成義務を免除せぬのに拘らず、原告に於ては拒絶証書作成等の手続を践まずして、被告に手形金の請求を為すのは失当であると抗争するけれども、約束手形振出人は本来の手形金支払義務者であり、原告の請求は遡及請求ではないこと論を俟たないから、拒絶証書作成義務の免除如何に拘らず、拒絶証書作成等遡及請求の為に必要な手続を履践することを原告に要求すべきいわれはない。してみると被告は原告に対し手形金並びに之に対する完済に至るまで年六分の割合による法定利息につき支払を為すべき義務あるものといわなければならないとして、原告の本訴請求を正当と認容した。